なんで地方創生するの?~地方創生に命かけた東大女子が出した結論~【今最もアツい都市・長野県塩尻市で見た、地方創生の真髄】
【今最もアツい都市・長野県塩尻市で見た、地方創生の真髄】
今回の記事が、私の大学生活をかけた地方創生に関する集大成になります!
今まで色々書いてきたように、地方創生に関する活動に身を投じ、色んなことを考えて勉強してきました。
けれども、2017年の9月、長野県塩尻市で開催された、ソフトバンクの地方創生インターン、「TURETECH」の現場を見て、
「ああ、地方創生ってこういうことなのか」
と、自分の中で改めて気づかされたことがたくさんありました。
この記事では、私が見た「TURETECH」の一部始終と、それを見て感じ、学んだことを以下の構成でレポートしたいと思います!
***
1.私と塩尻市の出会い
そもそも、なんで塩尻市に行き、TURETECHを見学する機会をいただいたのかというと、それは私が思う日本一面白い役人さん!(笑)元ナンパ師公務員・山田崇さんとの出会いがきっかけでした。
当時、地方創生に関連するイベントを見つけては顔を出していた私は、去年の夏休みに石川県で開かれた、地域活性化の実績で著名な方が主催するイベントに参加した。
そこで山田さんが講演してくださっていたんだけど、
もうそれがめちゃくちゃ面白かった!!
山田さんはTEDトークにも出演なさっていたこともあり、聞く人を惹きつけるプレゼンは全く飽きるところを知らない……!
しかもそれだけじゃなく、内容がとにかくワクワクする!!!
シャッター街になりかけていた商店街で次々に巻き起こるイノベーション、空き家プロジェクトnanoda
官民協働に本気で取り組む自治体・民間企業のリーダー200人が集う本気のディスカッション、MICHIKARA 地方創生協働リーダーシッププログラム
そして、泥臭い課題に真正面から取り組み、革命を体感する地方創生インターンシップTURE TECH
などなど!!地方都市で繰り広げられる眩しいアイデアの数々に私は「地方行政ってこんな可能性があるの!?」と大興奮!
もう聞き終わって早速、山田さんのもとに駆け寄り、「私、地方創生に関してこんな活動してるんです!!何か一緒にできませんか!?」と話しかけた!
すると流石の山田さん、「じゃあいったん塩尻市においでよ!」とお返事……!
「ちょうど9月にTURE TECHがあるから、見に来て!」
かくして、私は地方創生インターン・TURE TECHの現場を直接見聞きする機会を得たのである……(笑)
2.というか、そもそもTURE TECHって何?
TURE TECHとは、ソフトバンクと地方自治体が共催で行う、ICT(情報テクノロジー)×地方創生をテーマとした夏の短期インターンシップのこと。
事前研修・3泊4日の現地での取り組み(ヒアリング調査など)・事後研修を経て、最新テクノロジーを用いた地域の課題解決策を関係機関に提案する。
大学生等1000人をゆうに超えるエントリーがある中、参加資格を得られるのはわずか30名。
まさに本気で課題解決に挑む若者が大集結する激アツのインターンなのである!!
私は、このインターンの3泊4日のうち終わりの2日間見学する機会をいただいた。
実は、以前友人がこのインターンに参加し、超胸アツな記事を書いていたのを見たこともあり、「このインターンを間近で見られる機会が得られるなんて!(TT)✨」と私は行く前から心躍らせていた。
塩尻市に着いて市役所の方々から詳細を聞いてからも、期待は膨らむばかり。
なんでも、前年度はわずか3人の市役所員で回していたこのインターンが、今年度は担当課・その他の部署も含む10人規模でサポートされるようになったという。
その10人は3か月も前から事前研修を受け、課題の本質について要点をまとめた仕様書を作成。これがプロのコンサルにたたきまくられてさらに完成度の高い仕様書ができているとか。
インターンに臨む学生たちは、この仕様書の中にある課題に取り組むというわけである。
今年の課題は4つ。
薪ストーブユーザーと森林所有者のマッチング
現地の中小製造業における人材採用戦略
都市農村交流による担い手創出
地域のNPOの支援
もう、なんだ、この手を付けたくて仕方ない感じの課題たちは……!
インターンのクオリティが保証されているしかないじゃないか……!
この先進的なインターンが市の取り組みとして事業に組み込まれ、制度化しつつある様子にまた興奮しながら、いよいよ最初の現場を目撃!
私が最初に立ち会ったのはちょうどインターン生たちの中間報告でした。
「さあ…!学生たちの熱いドラマと斬新なアイデアをあますことなく報告するゼッ!!」
と意気込んでいたのだが……。
そこで私が見たものは、予想とは違っていた。
そこから色々と考えさせられ、最終日まで密着した結果、私は今までの大学生活で気づかなかった、本当に大事なものに目が開くのである。
このあとの項目で、私が見たTURE TECHのそして、そのあとに繰り広げられたドラマを順に書いていきます!
3.最初に私が見たもの
各班の中間発表を聞きながら、私は段々と言語化しづらい違和感を感じ始めた。
何だ、この感じ……。
やはり何十倍もの倍率を潜り抜けただけあり、参加者は皆とても優秀なのがプレゼンの内容からも伝わってきた。
皆一生懸命考えて出したアイデアだと思う、スライドもめっちゃキレイ……。
ただ、なんていうか、
「あれ?これって結局学生は何を考えたんだ?」
と思ってしまったのだ。
どのアイデアも、熟考の上に導き出されたのは百も承知なのだけど、無難に感じてしまった。
これはなぜなのか考えたとき、行政があらかじめ用意した仕様書が作りこまれすぎていて、ある程度の筋道が見えるレールに沿った回答のような気がしてしまったのである。
そのレールをぶち壊すくらいの提案がない……。
例えるなら、100点満点のテストで、90点分くらいもう解答が書いてある感じ。
学生の作業は残り10点分を埋めるくらいの余地しか残されていないような印象を受けた。
もっと「本当の課題とは何か」について話し合った方がいいのではないのか。
仕様書が提案する着眼点・解決策に異議申し立ててもいいのではないか。
それを学生が話し合うからすごく面白いのでは。
主催者側が熱心に作りこんだから、良いプログラムになるはずなのに……逆に学生が奇抜な発想をする余地を奪っているような感覚に陥る。
あれ、これってこのインターンを通して本当に成し遂げたかった姿なの?
そんなことを悶々と考えながら発表を聞いていると、今度は別の違和感、というかイライラに襲われてきた。
そのアイデア、財源は、事業計画は?運営の主体は?持続可能な案じゃないと、本質的な課題解決にならないのでは?
各提案に対する指摘ポイントが次々に思い浮かぶ。
しかし、自分の中で何にそんなにイライラしているのか、正直よくわからなった。別に指摘した部分に対して自分がそこまで心乱されているとも思えない。
自分は、この発表の何に違和感を持っているんだろう?
それがうまく言語化できないまま、全ての班の発表が終わった。
***
中間発表のあと、各審査員のフィードバックを受けて、インターン参加者は最後の追い込みに入った。
みんな、用意された寝室で寝ないで各作業所に布団を引っ張りこみ、議論を重ね、スライドを修正し、スキマ時間に仮眠をとる……。
必死に考え抜く姿をたくさん見ながら、私も自分の中のもやもやを必死に言語化しようとした。
各参加者が、私が大学生活をかけて考えてきたように、地域の課題について真摯に向き合ってる。その姿勢に共感こそすれイラつくわけがないのに、なぜ私はこんな感情を抱いているんだ?
と、ディスカッションを重ねる皆を、まるで背後霊のように無言で見守りながら考えていた。(すいません、目障りでしたよね……)
そして、翌日迎えた最終プレゼン。
私は大きな変化を目撃した。
4.最終日に私が見たもの
最終プレゼン前に各班がリハーサルをしている時、私は明らかに中間発表と違うと感じた。
もちろん、各提案の内容がより具体化し、ブラッシュアップされているのはもちろんなのだけど、なんか、気迫が違った……!
思わず、背後霊のくせに、私も「ここはこうした方がもっと良くなるのでは」とコメントした班もあったくらい、何とかして手助けしたくなってしまうくらいだった。
そして、いよいよ市長を前にした最終プレゼンが始まる。
そこで、何が前日と変わったのか、何に私がモヤモヤしていたのか、はっきりと気づいた。
昨日までと大きく違ったこと。
それは、各班がみんな、「私たちにやらせてください」と口々に唱え始めたのだ。
「この提案を実装するために、11月にまた来てさらに具体的な現地調査を行います」「この予算さえいただければ、私たちがまず作ります」
そんな声が次々に飛び出した。
「私達がやります!」
皆涙ぐんで、声を大にして叫んでいた。
ここで、私は中間発表で自分が何にモヤモヤしていたのか気づいた。
それは、「当事者意識」だ。
中間発表までは、主語がインターン生自身ではなかった。「塩尻市」「中小企業」「NPO」など各関係団体だった。
だから、他人事のような感じがして、「このインターンが終わったらその提案はどうなるの?」と言いたくなってしまったのだ。
でも、最後はみんな自分が主語になって、塩尻市のことが「自分のこと」になっていた。
次にいつ塩尻市に来るのか、その日程調整を始めて、「自分にできることは何だろう」と必死に考える姿に、私は胸を打たれた。
このインターンで終わり、じゃなくなっていた。
だから、何とかして市長にその気持ちが伝わるといいなって思ったんだ。
***
プレゼン終了後の懇親会で、私はさらに深く考えさせられる現場を目撃した。
とにかく、みんな、みんな、超良い顔!!!!
各班をサポートした、ソフトバンクさん側のメンターさん、塩尻市役所側のメンターさんそれぞれと、 心の底から楽しそうに笑い合う参加者たち。
皆、もう一生モノの付き合いなんじゃないかってくらい、結束を感じた。
各参加者やメンターさんたちに「インターンを終えてどうでしたか?」と聞くと、一つの課題について突き詰めて考え抜く経験はもちろんだけど、この、人との繋がり、塩尻市との繋がりのことを財産だと話す人ばかりだった。
そこで、私は「このインターンを通して本当に成し遂げたかった姿」についてもう一度考えることになった。
あれ?地域の諸課題に対して、現実的で具体的で斬新なアイデアを提案すること、なんだっけ?
それが本質なんだっけ。
もちろん、それも大事なことだけど、でもそれって、市役所の職員さんが年がら年中考え抜いて取り組んでて。
事前・事後研修と3泊4日の体験が生んだ本当の価値って何なんだろうか。
そして、熱くきずなを深める全員の笑顔を見ながら、ふと気づいた。
地方創生において、本当に大事なことは何か。
5.私が出した結論
私はいままで、「何のために地方創生するのか?」についてたくさん勉強し、さんざん論じてきた。
自立できるマネタイズの仕組みを確立し、コミュニティの持続可能性を高めて……
食料安全保障、最適人口論にリスク分散……
ア゛ァーーーーーーーそういうのもういい!!
ダサい!!!
もっとシンプルにいこうぜ!!
「何のために地方創生するの?」
その明確な答えは
「楽しいから!!」
新しい出会いとアイデアの衝突が、色んな場所で巻き起こる。
それが楽しいからみんなお金出したくなるし、また来たくなるし、そこに住みたくなるしその仕事に就きたくなる。
全ては楽しいが根源で、それがないと持続可能性もくそもない!
TURE TECHの本質は、「現実的で具体的で斬新なアイデアを提案すること」じゃなかった!
自分が今まで知りもしなかった土地を、まるで自分のことのように思って、新たな人々との繋がりに心があったまる……
そんな素敵な激アツ体験だったのだ!!!
さあ、私が出した結論はこれ!
地方創生は、使命感に駆られてやるものでも、義務でもなくて、エンターテインメント!!!(笑)
はぁ~、こんな簡単な答えに気づくのに、4年間もかかってしまった(笑)
色んな理屈をこねたけど、難しいこと考えたけど、結局は全部ここに繋がる。
これから、「地方創生」に限らず、色んな活動をする中で、この「楽しさ」「ワクワク」がいつも根源でありたい。
こんな貴重な気づきを得させてくださった、塩尻市の皆様、ソフトバンクの皆様、そしてTURE TECHの参加者の皆様!ほんとにほんとに、ありがとうございました!!!
この記事を読んで、TURE TECHに少しでも多くの人が興味を持って、申し込んでくれると嬉しいです!
今年の春からはなんと海外版TURE TECHも始まり、その勢いがとどまることをしらないプログラムになってます♪
塩尻市も、とーってもいい街なので、絶対また行きたい~~~~!!!皆様もぜひ訪れてみてください(*^▽^*)
以上、私が塩尻市で目撃した、地方創生の真髄でした^^ 長いのに読んでくださった皆様、本当にありがとうございました!
さあ、Let's enjoy 地方創生☆