頭上なると海峡のうずのなか

人生奮闘中の女子東大生の日々の雑感を書きます

東大生だからって、偉いの?③

f:id:tommy_103:20180126054301j:plain

こんにちは。とみーです。

このシリーズですが、今回が最終回です。
(3回しかやんないくせにシリーズとか言うなっていうツッコミが聞こえそうだ)

***

今までさんざん、「東大生は!!偉く!!ないぞ!!」ということを語ってきましたが、
今回は、
「なぜ、そうはいっても、官僚や企業の重職、政治家などに東大生が多いのか?」
「なんで学歴フィルターが企業の採用選考で使われるのか?」
「とはいっても、東大生って『優秀』じゃない?」

という声に対して、その理由について、私なりの意見を述べたいと思います。

***

「“勉強”は本当にそんなに大切なのか?」

教育経済学者・中室牧子先生は、「「学力」の経済学」という著作でこう問いかける。
彼女は、教育経済学の第一人者である、シカゴ大学ヘックマン教授の、世紀の大実験「ペリー幼稚園プログラム」を取り上げ、

「人生の成功において重要な力とは何か」

についての提言を行っている。

「ペリー幼稚園プログラム」とは、低所得のアフリカ系アメリカ人の3~4歳の子供たちに、「質の高い就学前教育」を施し、その結果を40年にわたり追跡調査するプログラムのこと。

対照群との比較から、この研究が明らかにしたのは、「このプログラムに参加した子供たちは、小学校入学時点のIQが高かっただけでなく、その後の人生において、学歴が高く、雇用や経済的な環境が安定しており、反社会的な行為に及ぶ確率も低かった」ということだった。

これを受けて、「ああ、なーんだ、つまり小さいころから英才教育されたら学力が伸びて成功するのね。わかったわかった」と思うのは気が早い。

実は、この調査が明らかにしたのは別の事実だった。

確かに、子供たちのIQはこのプログラムの後上昇した。
しかし、その効果は一時的なものだった。わずか8歳前後には、IQの差は対照群と差がなくなってしまったのである。IQや学力テストで計測される能力を、「認知能力」というが、このプログラムには「認知能力」の向上を長期的に持続的させることはできなかった。

それならば、「ペリー幼稚園プログラム」は子供たちの何を変えたのか?

それは、「非認知能力」と呼ばれる、学力では測りきれない能力だったとされる。
「忍耐力」とか、「社会性がある」とか、一般的に「生きる力」と言われるものだ。

最近の研究では、認知能力を上げるには年齢的な限界があるけれども、非認知能力は、成人後も伸ばせるものが多い、ということが分かっている。

「自制心」「やり抜く力(GRIT)」――これらが、特に重要な非認知能力と言われている。

***

ここまでの議論で、私が言いたいことに気づいた人もいらっしゃるだろう。

そう、東大生が高いのは、「認知能力」つまり、「学力」と思われがちだ。(まあ実際そうだ)
しかし、それが成功の源泉ではない。

私は、東大生は「非認知能力」、すなわち、「自制心」「やりぬく力」に長けている人が多いと思っている。

東大の試験は、日本一内容が難しいわけではない。
日本一科目数が多いのだ。

文理関係なく、国数英社理の全科目が必要だし
二次試験にいたっては、文系なら社会2科目、理系なら理科2科目。
しかもぜーんぶ論述。
英語はリスニングまであるし、問題の数も種類もめっちゃ多い。

初めて東大の過去問を解いた日を今でも覚えている(汗)
「(顔面蒼白)……こんなの、時間内にぜんぶ解けたら人間じゃない!!わたし人間でいたい!!(壊)」
と、ゴミクズ以下の答案を前に心の中で叫んだ記憶がある。

とまあ、こんな試験を「やりぬいた」力は、どの東大生もあるだろう。
そして、こんなにやること多いから、(そうじゃない人もいるかもしれないけど)「自制心」を持って自分のしたいことを受験前は我慢した人が大半だろう。

つまり、東大生は受験を通して、一定の「非認知能力」を鍛え、スクリーニングを受けて入学しているのである。

***

さて、お堅い話はこれまでにして、私が本当に言いたかったことを話そう。

さんまの東大方程式とかで、東大生がいじられてることも多いけど
「コミュ障」「変人」「まじめで堅物」とか言われることも多いけど
私が出会った東大生は、本当に大好きな人たちばっかりだ。

私は今、エンカレッジ東大支部の運営を通して、
たくさんの東大生とキャリアについて一緒に考える面談をしてきて
「本当に東大生は素晴らしい人たちばっかりだ」と
前以上に思うようになった。

もちろんみんな、お勉強もできるし頭もいいんだけど、そんなことよりも、
基本東大にいるとみんな自分より優秀だから
謙虚な人が多い。人の話を真摯に受け止める、素直な人が多い。

今日、面談した後輩は、まさしくそういう人で。
「こういう人のキャリアをお手伝いしたい!」と、私もいつも以上に熱く語って、気づいたら4時間が経過していた(笑)

私の人生でも指折りの人にしか話していない、
私の人生で1番悔しくて忘れられない日を詳細に話した。
キャリアについて深く語った後、後輩の顔がすごく変わって、最後はとてもいい表情になった。

面談が終わった後、「真穂さんが、メンターで本当に良かったです」と言ってもらって、
「エンカレッジやってて本当によかった」って思った。

 

***

東大生だからって、偉いの?
お勉強できるから偉いの?

ううん、東大生みんな、学力だけじゃなくって
人として尊敬する素質をたくさん持っているよ

この大学で出会ったすべての人たち!
愛してるよ!!大好きだ!!